Carnalyze

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タカタ、大丈夫?国交省からも指導~②~

さて、

タカタ、大丈夫?国交省からも指導① - Carnalyzeの続編です。

 

前回はタカタのエアバッグのインフレーターに関わる騒動の概要を説明しました。

 

今回はタカタの決算情報から、今回の騒動をみていきます。

 

結論から申し上げると、今回の1件ですぐにタカタが潰れるようなことはありません

 

なぜでしょうか?

 

確かに、ホンダを始め、トヨタ、日産、マツダ、三菱、富士重工業(スバル)など日系自動車メーカーをはじめとして、タカタ製の硝酸アンモニウムを使ったインフレーターを採用しないと打ち出しています。

 

ほとんど全てのメーカーからの受注を失うことになります。

一つのモデルのコンペで負けたなんて、どーでもよくなるくらい痛いことですよ、これは。

 

ただ、硝酸アンモニウムを使ったという、条件があるのが救いです。

そして、今後は硝酸アンモニウムの代わりに、硝酸グアニジンの採用し、各社からの信用回復および受注を狙っていくそうです。

 

ただ、硝酸グアニジンは競合他社が使用している化学薬品で、この材料の実績は他社(㈱ダイセルなど)にあるわけですから、受注の獲得は簡単とは言えないでしょう。

サプライチェーンリスク管理の関係で、複数社発注を基本としているメーカーは採用するかもしれませんが、厳しい監査・管理が待っていることでしょうね。

 

こんな厳しい状況なタカタですが、大丈夫です。

下記資料をご覧ください。

タカタの2014年度の決算資料を抜粋したものです。

 

 

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タカタはエアバッグだけで稼いでいるメーカーではないんですね。

確かに売上比率を40%近く締めていますが、硝酸アンモニウムを使ったインフレーターはこのごく一部です。

一気に40%もの売上がなくなるわけではありません。

また、シートベルト・ステアリングといった他の安全装置の商品群があります。

 

ちなみに顧客はこんな感じです。

同じく2014年度決算資料からの抜粋です。

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ホンダが多いんですよね。

ですから、ホンダが硝酸アンモニウムを使ったインフレーターの不採用を打ち出したときは、新聞紙上がかなり騒ぎたてました。

 

それでも日系各メーカーと直接取引はあるはずですから、強いですよね。

あとは、燃費をちょろまかしたフォルクスワーゲンの取引比率が多いのも気がかりなくらいですかね。

 

トヨタは相変わらず調子がいいですから、問題ありません。

 

初めて見た印象は、思ったより外資が多いですね。

日系部品メーカーからすると、変わった顧客構成な気がします。

 

オーナー企業で独資だからこそでしょうか。

 

ただ、このランキングのメーカーはそもそも生産台数が多いですから、それは多少なりとも関係しているでしょう。

 

まーしかし、アメリカでの風評被害は懸念事項ですね。

見てください、2014年度決算で発表された2015年度の見通しです。

 

北米の割合が高いんですよ。

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やはり原油安・経済好調を追い風に台数の出る北米が、稼ぎ頭です。

 

日系各メーカーともそうですけどね、現地でのTVや新聞紙上ではかなりバッシングを受けていることでしょう。

 

こういった顧客の目に耐えるためにも、カーメーカーは不採用という手段を取るわけですよね。

 

 

こんな逆風は吹いていますが、商品はエアバッグに限りませんし、東証一部上場の大企業です。

簡単には潰れません。

カーメーカーも不採用は打ち出しつつも、潰れると困るのはわかりきっていることなので、別分野で仕事をあげたり、インフレーターを共同開発するなり、なんなりして一緒に乗り越えていくことでしょう。

 

株価は昨年と比べ、2分の1くらいになっていますが、また上がり始めています。

 

今後も注目しながら、見ていきましょう。

 

我々カーユーザーにとって、安全部品は非常に大事ですから。